2015年9月24日木曜日

翁長沖縄県知事の国連人権理事会での演説が国際的に注目される

今日は、ちょっと堅苦しい話題ですが、政治的な英語のスピーチを紹介させていただきたいと思います。

まず、最初は、翁長沖縄県知事が、9月21日にスイス・ジュネーブの国連人権理事会で発表された名護市辺野古への米軍基地建設に反対する声明を紹介させていただきます。

皆さまもご存じの通り、沖縄は、1972年に日本に返還された後も米軍によって占拠されており、在日米軍専用施設の73.8%が沖縄に集中しています。

そのため、沖縄では、これまでにも米兵による婦女暴行事件やヘリ墜落事件、騒音問題などが多発し、大きな問題となっています。沖縄住民によって普天間基地の返還が長い間求められていましたが、基地の老朽化も加わって、基地を辺野古に移動することとなりました。しかし、辺野古の埋め立て工事によってサンゴ礁や海洋動物、そして海自体が破壊されることに反対する新たな運動が起こりました。

2009年に民主党鳩山政権が誕生した際には、基地を県外に移設しようと審議されましたが、米国や官僚、自民党らの反対に遭いました。このとき、鳩山氏は全く関係のない脱税問題で総理辞職にまで追い込まれましたが、オリヴァー・ストーン監督によれば、実際は米軍基地を辺野古に移設するのを拒んだことが、米国オバマの怒りに触れて、オバマによって辞職命令が出たそうです。このように、米軍基地の県外移設の夢は断たれました。

詳細は、普天間基地移設問題を参照のこと。

現在、翁長知事は、辺野古移設埋め立て承認取り消しをめぐって政府と対立していますが、政府と太刀打ちするために、この問題を国連で発表して世界中に知らしめるという作戦は成功しました。鳩山氏の前例もある通り、沖縄県知事としての職を賭けるほどの、すごい勇気のいることだと思います。

報道ステーションが伝えている2008年国連自由権規約委員会による勧告「アイヌの人々および琉球・沖縄の人々を先住民族として国内法で明確に認めるべき」というくだりは、沖縄タイムスのスピーチには含まれていませんが、沖縄の人々を『先住民族』と認めることによって、「先住民族の土地での軍事活動は制限されている」という国連宣言を適用できるので、これは画期的なアイディアだと思います。

ただ、ネトウヨや政府、官僚たちはこれを適用されたら辺野古への基地移設は、一貫の終わりなので、この件についてあることないことをネットでバッシングしてくると思います。

これまでの沖縄知事は政府の言いなりになる腑抜けな知事が多くて、がっかりさせられましたが、知事生命を賭けて戦う翁長知事には、期待したいと思います。みんなで翁長知事を支持、支援しましょう。

沖縄タイムス(2015年9月22日 11:42)より

「辺野古の状況を見てください」国連での沖縄知事声明全文(日本語訳)

ありがとうございます、議長。
私は、日本国沖縄県の知事、翁長雄志です。
沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている辺野古の状況を、世界中から関心を持って見てください。
沖縄県内の米軍基地は、第二次世界大戦後、米軍に強制接収されて出来た基地です。
沖縄が自ら望んで土地を提供したものではありません。
沖縄は日本国土の0.6%の面積しかありませんが、在日米軍専用施設の73.8%が存在しています。
戦後70年間、いまだ米軍基地から派生する事件・事故環境問題が県民生活に大きな影響を与え続けています。
このように沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされています。
自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるのでしょうか。
日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を一顧だにせず、美しい海を埋め立てて辺野古新基地建設作業を強行しようとしています。
私は、あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟です。
今日はこのような説明の場が頂けたことを感謝しております。ありがとうございました。



9月22日(火)の報道ステーションが、沖縄県翁長知事の国連人権理事会での演説を好意的に報道してくれました。
「私は世界中の皆さんに民意に反した辺野古問題に関心を持っていただきたい」「私たちは自己決定権や人権をないがしろにされている」との演説を紹介。「在日米軍専用施設が沖縄に集中していることや、米兵による事件事故が多発していることを、2分間の演説で訴えた」と伝えました。
さらに「自国民の自由、平等、人権、民主主義すら守れない国が、どうして世界中の国々とそれらの価値観を共有することができるでしょうか。私はあらゆる合法的な手段を使って新しい基地の建設を泊める覚悟です」との翁長知事の演説を伝えました。
さらに、2008年国連自由権規約委員会が行った「アイヌの人々および琉球・沖縄の人々を先住民族として国内法で明確に認めるべき」という勧告に触れ、先住民族の権利に関する国連宣言が、「先住民族の土地での軍事活動は制限されている」ことを指摘。日本政府が「アイヌの人々については(先住民族であることを)認めているものの、沖縄の人々を『先住民族』とは認定していない」ことを伝えています。
演説を聴いた海外の人権団体職員の知事演説に対する肯定的なコメントを伝え、「安全保障の問題が人権の問題に」そして「国内問題が国際問題に」変容しているという元国連人権理事会諮問委員会委員・同志社大学教授の坂元茂樹氏の指摘を紹介しています。
さらに、「安保法制で広がる『共同行動』、アメリカの『期待』と『懸念』」として、今後広がる自衛隊と米軍との共同行動が、どのようなものになるのかを展望しています。

自らがベトナム帰還兵であるオリヴァ―・ストーン監督は、これまでにもベトナム戦争を描いた映画や米政府や米政治を批判した作品が多いことで知られています。

2013年に沖縄の記念式典後にスピーチを行った際(下記動画参考)に、下記のような重要な発言をしていらっしゃいます。

第二次大戦後、私が見た日本は、偉大な文化、映画文化、そして音楽、食文化の日本だった。
しかし、私が日本について見る事の出来なかったものがひとつある。それは、ただのひとりの政治家も、ひとりの首相も、日本の平和や道徳的な健全さのために立ち上がった人がいなかったことだ。
いやひとりいた。それは最近オバマ大統領の沖縄政策に反対してオバマにやめさせられた人だ。

ここで、オリヴァー・ストーン監督が沖縄政策に反対してオバマに辞めさせられたと言っているのは鳩山元総理のことだと思いますが、日本の平和や道徳的な健全さのために立ち上がった人として、もう一人、翁長知事を付け加えなければならないでしょう。

参考資料:

Hiroshi Kanei氏のFBより転載させていただきます。
The speech of William Oliver Stone in Hiroshima, 2013.
今日ここにこられてうれしい。初めて広島に来たが、この2、3日、特に皆さんも出席されたと思うが、今朝の(原爆記念)公園での式典を見て強く心動かされた。よくできた式典だった。日本人の良心を証明するような式だった。すばらしい記念式典は「日本人」の性質をよく表していたと思う。しかし、今日そこには多くの「偽善」もあった。「平和」そして「核廃絶」のような言葉が安倍首相らの口から出た。でも私は安倍氏の言葉を信じていない。第二次大戦で敗戦した2つの主要国家はドイツと日本だった。両者を並べて比べてみよう。ドイツは国家がしてしまった事を反省し、検証し、罪悪感を感じ、謝罪し、そしてより重要な事に、その後のヨーロッパで平和のための道徳的なリーダーシップをとった。ドイツは、60年代70年代を通してヨーロッパで本当に大きな道徳的な力となった。平和のためのロビー活動を行ない、常に反原子力であり、アメリカが望むようなレベルに自国の軍事力を引き上げることを拒否し続けてきた。2003年、アメリカがイラク戦争を始めようというとき、ドイツのシュローダー首相は、フランス、ロシアとともにアメリカのブッシュ大統領に“No”と言ったのだ。第二次大戦後、私が見た日本は、偉大な文化、映画文化、そして音楽、食文化の日本だった。しかし、私が日本について見る事の出来なかったものがひとつある。それは、ただのひとりの政治家も、ひとりの首相も、高邁な道徳や平和のために立ち上がった人がいなかったことだ。いやひとりいた。それは最近オバマ大統領の沖縄政策に反対してオバマにやめさせられた人だ。みなさんに聞きたいのは、どうして、日本とともにひどい経験をしたドイツが今では平和維持に大きな力を発揮しているのに、日本は、アメリカの衛星国家としてカモにされているのかということだ。あなた方には強い経済もあり、良質な労働力もある。なのになぜ立ち上がろうとしない?第二次大戦後、米国はソ連を巨大なモンスターにしたてあげた。中国はいまその途上にある。つまり米国の「唯一の超大国」の立場を脅かすもうひとつの超大国にしたてあげられようとしている。今は大変危険な状況にある。オバマはヘビのような人間だ。ソフトに語りかける。しかしオバマは無慈悲な人間だ。台湾に120億ドルもの武器を台湾に売り、日本にスティルス戦闘機を売る。日本は世界第4位の軍事大国になっている。それを「自衛隊」と呼ぶのはかまわないが世界4位の軍事大国だ。日本より軍事費が多いのは米国、英国、中国だけだ。日本をそういうふうにした共犯者はアメリカにほかならない。日本は米国の武器の最大の得意客なだけでなく、アメリカの行なったクウェートやイラクでの戦争の戦費の支払をしてくれた。よく聞いてほしい、アメリカは、こんなことを言いたくはないが、いじめっ子なのだ。日本が今直面している恐ろしい龍は中国ではなく、アメリカだ。4日まえ、私は韓国の済州島にいた。韓国は上海から400Kmのその場所に最大の海軍基地を作っている。韓国は済州島の世界自然遺産の珊瑚礁を破壊して巨大な海軍基地を作っている。そこは、中国に対しては沖縄よりも前線に位置する。その軍港には世界最大であらゆる核兵器を搭載する空母ジョージワシントンが停泊できる。そこから出て行って中国のシーレーンを制圧するのだ。今年、戦争がアジアに戻ってきた。オバマと安倍は相思相愛だ。安倍はオバマが何を欲しがっているか知っている。なかでも尖閣諸島について、私にはコメントしようがない。あんなものを巡って戦う気が知れないが、それなのに戦う価値があるように言われている。いま皆さんは核兵器廃絶が大切だとお思いだろう。しかし、このポーカーゲーム(危険な賭け事)はアメリカ主導で軍が展開して急速に進んでいる。アメリカは世界の73%の武器を製造しては売りさばいている。それには無人攻撃機、サイバー兵器、宇宙戦争用の武器も含まれる。核兵器は、アメリカが戦争に使う兵器のごく一部でしかない。米国は世界の歴史上最強最大の軍事国家なのだ。どう思いますか、みなさん。これに対して怒りを感じてほしいです。私が怒っているのと同じように、皆さんにも怒ってほしいのです。米国は「唯一の大国」であろうとするために脅威を増大させ、世界中にアメをなめさせ、無実の人を刑務所に入れ、消し、ファイルを秘匿し、盗聴し、永遠の監視国家たろうとしている。ご存知かどうかわからないがジョージ・オーウェルがこのことをうまく言い表した。これが今世界に起っている事だ。日本は、悪事に加担している。もう一度言おう。ベトナム戦争の後、みなさんは戦争の危険さを知って、これがアジアで最後の大きな戦争になると思ったはずだ。でも、もう一度戦争の危険がある。ここでみなさんにはドイツがヨーロッパでしたように、立ち上がって反対の声を上げてほしい。日本はかつて敗戦し広島長崎その他でひどい目にあった。その悲しみを糧にして強くなり、繰り返し戦争を起こして日本と世界に痛みを与えてきたバカ者どもと戦ってほしいのです。***ウィリアム・オリヴァー・ストーン(William Oliver Stone, 1946年9月15日 - )は、アメリカ合衆国の映画監督、映画プロデューサー、脚本家。ベトナム帰還兵である自身の実体験を生かし、ベトナム戦争とそれが人間に与えた影響を描いた。それに付随して、多くの作品の傾向として、アメリカ合衆国政府やアメリカ政治の腐敗・欺瞞・矛盾を痛烈に批判している。
Posted by Hiroshi Kanei on Monday, September 21, 2015
今日ここにこられてうれしい。初めて広島に来たが、この2、3日、特に皆さんも出席されたと思うが、今朝の(原爆記念)公園での式典を見て強く心動かされた。よくできた式典だった。
日本人の良心を証明するような式だった。すばらしい記念式典は「日本人」の性質をよく表していたと思う。
しかし、今日そこには多くの「偽善」もあった。「平和」そして「核廃絶」のような言葉が安倍首相らの口から出た。でも私は安倍氏の言葉を信じていない。
第二次大戦で敗戦した2つの主要国家はドイツと日本だった。両者を並べて比べてみよう。ドイツは国家がしてしまった事を反省し、検証し、罪悪感を感じ、謝罪し、そしてより重要な事に、その後のヨーロッパで平和のための道徳的なリーダーシップをとった。
ドイツは、60年代70年代を通してヨーロッパで本当に大きな道徳的な力となった。平和のためのロビー活動を行ない、常に反原子力であり、アメリカが望むようなレベルに自国の軍事力を引き上げることを拒否し続けてきた。
2003年、アメリカがイラク戦争を始めようというとき、ドイツのシュローダー首相は、フランス、ロシアとともにアメリカのブッシュ大統領に“No”と言ったのだ。
第二次大戦後、私が見た日本は、偉大な文化、映画文化、そして音楽、食文化の日本だった。
しかし、私が日本について見る事の出来なかったものがひとつある。それは、ただのひとりの政治家も、ひとりの首相も、高邁な道徳や平和のために立ち上がった人がいなかったことだ。
いやひとりいた。それは最近オバマ大統領の沖縄政策に反対してオバマにやめさせられた人だ。
みなさんに聞きたいのは、どうして、日本とともにひどい経験をしたドイツが今では平和維持に大きな力を発揮しているのに、日本は、アメリカの衛星国家としてカモにされているのかということだ。あなた方には強い経済もあり、良質な労働力もある。なのになぜ立ち上がろうとしない?
第二次大戦後、米国はソ連を巨大なモンスターにしたてあげた。中国はいまその途上にある。
つまり米国の「唯一の超大国」の立場を脅かすもうひとつの超大国にしたてあげられようとしている。今は大変危険な状況にある。
オバマはヘビのような人間だ。ソフトに語りかける。しかしオバマは無慈悲な人間だ。台湾に120億ドルもの武器を台湾に売り、日本にスティルス戦闘機を売る。
日本は世界第4位の軍事大国になっている。それを「自衛隊」と呼ぶのはかまわないが世界4位の軍事大国だ。
日本より軍事費が多いのは米国、英国、中国だけだ。日本をそういうふうにした共犯者はアメリカにほかならない。
日本は米国の武器の最大の得意客なだけでなく、アメリカの行なったクウェートやイラクでの戦争の戦費の支払をしてくれた。
よく聞いてほしい、アメリカは、こんなことを言いたくはないが、いじめっ子なのだ。 日本が今直面している恐ろしい龍は中国ではなく、アメリカだ。
4日まえ、私は韓国の済州島にいた。韓国は上海から400Kmのその場所に最大の海軍基地を作っている。韓国は済州島の世界自然遺産の珊瑚礁を破壊して巨大な海軍基地を作っている。
そこは、中国に対しては沖縄よりも前線に位置する。その軍港には世界最大であらゆる核兵器を搭載する空母ジョージワシントンが停泊できる。そこから出て行って中国のシーレーンを制圧するのだ。
今年、戦争がアジアに戻ってきた。オバマと安倍は相思相愛だ。安倍はオバマが何を欲しがっているか知っている。
なかでも尖閣諸島について、私にはコメントしようがない。あんなものを巡って戦う気が知れないが、それなのに戦う価値があるように言われている。
いま皆さんは核兵器廃絶が大切だとお思いだろう。しかし、このポーカーゲーム(危険な賭け事)はアメリカ主導で軍が展開して急速に進んでいる。
アメリカは世界の73%の武器を製造しては売りさばいている。それには無人攻撃機、サイバー兵器、宇宙戦争用の武器も含まれる。
核兵器は、アメリカが戦争に使う兵器のごく一部でしかない。米国は世界の歴史上最強最大の軍事国家なのだ。
どう思いますか、みなさん。これに対して怒りを感じてほしいです。私が怒っているのと同じように、皆さんにも怒ってほしいのです。
米国は「唯一の大国」であろうとするために脅威を増大させ、世界中にアメをなめさせ、無実の人を刑務所に入れ、消し、ファイルを秘匿し、盗聴し、永遠の監視国家たろうとしている。
ご存知かどうかわからないがジョージ・オーウェルがこのことをうまく言い表した。 これが今世界に起っている事だ。
日本は、悪事に加担している。
もう一度言おう。ベトナム戦争の後、みなさんは戦争の危険さを知って、これがアジアで最後の大きな戦争になると思ったはずだ。 でも、もう一度戦争の危険がある。
ここでみなさんにはドイツがヨーロッパでしたように、 立ち上がって反対の声を上げてほしい。
日本はかつて敗戦し広島長崎その他でひどい目にあった。その悲しみを糧にして強くなり、繰り返し戦争を起こして日本と世界に痛みを与えてきたバカ者どもと戦ってほしいのです。
*** ウィリアム・オリヴァー・ストーン(William Oliver Stone, 1946年9月15日 - )は、アメリカ合衆国の映画監督、映画プロデューサー、脚本家。 ベトナム帰還兵である自身の実体験を生かし、ベトナム戦争とそれが人間に与えた影響を描いた。それに付随して、多くの作品の傾向として、アメリカ合衆国政府やアメリカ政治の腐敗・欺瞞・矛盾を痛烈に批判している。

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